戦略策定に必要なのが論理的思考法である。この思考法はロジカルシンキングという技法と呼ばれる。その技術は①論理的展開(事象と事象の関係性を論理的に説明する技術)→帰納法、演繹法、②因果関係の把握(事象の「原因」と「結果」を正しく把握する技術)、③構造化(複雑に絡み合う事象を要素分解し、各要素間の関係を明確にすることで事象全体像を理解する技術)→MECE、ロジックツリー、というフレームで考える技法である。
論理の基本構造は複数の独立したメッセージを集約して抽象化し、そこから生まれるより高次の一般メッセージを導く「帰納法」的アプローチと、大前提→小前提→結論という積み上げ方による演繹法によって構成されていると言われている。全体の理論構造は、この演繹と帰納を組み合わせて、ビラミット型に構成される。このビラミット型構造の下にいくほど具体的であり、上にいくほど抽象的である。つまり、上の結論を支えるのは、下の要因・原因という構造である。
一番下のレベルは、事実または事実の証明がなくても通用する極めて蓋然性の高い命題である。例えば、どんな人でもみな死んだという事実は、時にこれを証明しなくても蓋然性が高いとみて間違いない。したがって、このレベルの認識が誤っていれば、抽象化された上位のロジックは崩れてしまう。また、論理構造はMECEでなければ成り立たないので、因果の連鎖に矛盾があってはならない。そこで演繹法と帰納法の補完関係が必要なわけであるが、この関係を理解するためにも、ロジックが介在するのは当然のことである。
まず、演繹とはどういうものであるかというと、俗に言う三段論法がそれである。「大前提→小前提→結論」のプロセスで作られている。例えば、「人は必ず死ぬ」という大前提→「ソクラテスは人間である」とい小前提→「ゆえにソクラテスは死ぬ」という結論になる。この論理には異論を唱えることはできない(ロジックとして正しい)。ここで、この大前提は、どこからもたらされたものであろう。
そもそも、この前提が間違っていれば、このロジックは成り立たないことになるので、この大前提の蓋然性がぐらつくものであっては納得がいくはずがない。そこで、帰納法の助けが必要なのである。つまり、あの人も死んだし別の人も死んだという過去の事実を前提とするわけである。そもそも、この前提が間違っていれば、このロジックは成り立たないことになるので、この大前提の蓋然性がぐらつくものであっては納得がいくはずがない。
そこで、帰納法の助けが必要なのである。つまり、あの人も死んだし別の人も死んだという過去の事実を前提とするわけである。こうした事実を集積することにより、事実から帰納によって「人は必ず死ぬものだ」という一般化された法則となる。次に、「ソクラテスは人間である」というメッセージは、大前提とは別の根拠によって裏づけられなければならない。
こうして、最上位にある最終のメッセージが最下位の事実によって裏づけられたとき、論理的に正しいメッセージとなる。このように演繹法は、三段論法ともよばれ、その前提が疑う余地のない事象であることが条件であるが、一方の帰納法は、いくつかの事象の共通点に着目するもので、科学的に証明されているモノを前提にはしていないという手法である。