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研究所blog > 代表権を後継者に承継させる(その1 経営者の交代)


代表権を後継者に承継させる(その1 経営者の交代)

 

 

(1) 現経営者の退任

 現経営者(代表取締役)は、会社に辞任届を提出して代表取締役を辞任するか(取締役の地位は残す)、取締役を辞任することによって代表取締役と取締役を退任する。場合によっては、任期満了による辞任も考えられる。取締役と株式会社との関係は委任契約の関係であり、人気の途中であっても取締役が辞任の意思表示をすれば、その時点で辞任の効力が生じる(株主総会の決議は不要)。

 会社法上取締役設置会社の取締役は、3人以上でなければならない(会社法331-5)。よって取締役の辞任により取締役の人数が3人、あるいは定款で定めた取締役の定足数を下回ってしまう場合は、人数を満たす取締役が選任され、新たに選任された取締役が就任するまでは辞任の登記をすることができないので、取締役設置会社の場合、取締役の最低人数を下回ってしまわないように注意する必要がある。

なお、会社が取締役退任の変更登記を実行しないときは、退任取締役は、取締役退任登記申請訴訟の確定判決を持って登記申請することができる。また、会社法又は定款で定めた代表取締役の員数を欠くことになる場合、取締役の場合と同様に、当該代表取締役は、新たに選任された代表取締役が就任するまで、なお代表取締役としての権利義務を有するとされている(会社法351-1)。

(2) 代表取締役の選任

 現経営者の代表取締役退任に伴い、後継者が代表取締役に就任する。取締役会設置会社では、代表取締役は、取締役会の決議をもって決定される(会社法326-2、3)。取締役会決議は、取締役の過半数が出席してその取締役の過半数を持って議決される(会社法369-1)が、定款により定足数と必要賛成数を引き上げることができる。この場合、被選任者は取締役会における代表取締役の選任決議に参加することができ、その選任者も定足数に算入される。

 なお、一般的に代表取締役に就任した者は、就任承諾書を会社に提出する必要があり、代表取締役の変更登記書類として、この就任承諾書を添付する。一方、取締役会非設置会社で取締役が2名以上である場合には、基本的に取締役会が会社を代表することになっており、代表取締役の設置は任意となっている(会社法349-2)。なお、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を選定することができる(会社法349-3)。

(3) 変更登記

 代表取締役あるいは取締役を変更した場合は、会社は変更した日から2週間以内に本店所在地を管轄する法務局へ取締役変更の登記申請を行う必要がある(会社法915-1)。変更登記は、ア)株式会社変更登記申請書、イ)辞任届、ウ)就任承諾書などが必要である。辞任届に記載する氏名は記名であっても登記できるが、本人の意思によることを明確にするため、なるべく自筆によることが望ましい。なお、代表取締役あるいは取締役に選任された者が、株主総会の席上で就任を承諾した旨の記載が株主総会議事録にあり、同議事録が添付されている場合には、申請書に就任承諾書を添付する必要はない。

投稿者: 菊田富雄 | 日時: 2018年4月23日 | カテゴリ: 事業承継と相続

  


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