等価交換法とは、まず、対象となるテーマを決め、その対象等価なものを探す。その等価なものと置きかえて、そこから発想する。ここで得たアイディアを使って、改めてテーマを考える。このように、方法としてはいたってシンプルなものであるが、アイディアを発想するプロセスとしては、極めて有用なツールであり、活用範囲も広い発想法である。
例えば、新しい交通手段を開発しようとするとき、まず、鉄道というテーマを決めたとする。すると、鉄道と対象等価なものを探すと、バスを思いつくのは容易である。そこで、今度は改めてバスを起点にアイディアを発想すると、「鉄道よりも町の中心部に近いところまで、乗り換えなしで行ける」「料金が安い」などのメリットがあることに考えが及ぶ。
一方、「交通渋滞に巻き込まれる恐れがある」「1台で輸送する人員が少ない」などのデメリットも同時に問題として浮上するはずである。新しい交通手段として、バス路線を開発しようとするならば、上記のメリットを生かし、かつ、デメリットを解消する手立てを考えたり、単なる移動手段ではなく、快適な旅行というコンセプトで企画できそうである。
快適な旅行を企画するとなれば、鉄道ではできない車内サービスを思いつくかもしれないし、途中で少し寄り道をして、景勝地を通るルートも考えられるかもしれない。このように発想が膨らんでくると、季節ごとに社内の雰囲気を演出する方策にまで拡大するかもしれない。このように、発想を連鎖させていく点が、等価交換法の優れている点である。
航空機業界では、チャーター機や専用機と既存の航空会社のビジネスクラスの経済効果を比較すると、チャーター機・専用機は、「待ち時間が不要」「移動時間短縮」「自由度と信頼性」などの点で優れている。一方、「融通か聞かない」、専用機の場合は「購入すると莫大な投資となるし、ランニングコストも発生する」などのデメリットがあると考えられる。
こうした事実に着目したネットジェッッは、チャーター機や専用機のメリット生かしつつ、新たなビジネスモデルを開発した。それは、15社の法人顧客がジェット機を共有すれば、年間50時間のフライトを保証するというサービスを提案した。これなども、等価交換という発想法から出発して、ブルーオーシャン戦略に結びつけたものだとも考えられる。